三橋達也氏インタビュー 25
訳の分からない映画『グラマ島の誘惑』
**** 東京映画では、
『グラマ島の誘惑』 (1959・東京映画)
といった作品に出演されてますね。
 
三橋

いろんな思い出があるけれどね。

僕に、現地人のウルメルっていう役をやれってね。
つまり、ターザンなんですよ。ターザンの
「あ〜あ、あ〜」、あれをやれってね。
ところがね、何も仕掛けしてない
ただのロープでしょう。すべって落っこっちゃうよ。
あれはチャンとした仕掛けしなきゃダメですよ。

あれはなんとも訳のわからない映画でね、
あれをまた、世紀の傑作だって言う人が
いるわけですよ。僕なんか何がなんだかわかんない。
何か霊きゅう車が出たりして、ちょっと
訳がわかんないよ、あの映画は。
突然、霊きゅう車が出てくるからねぇ。
でも顔ぶれは、大変な顔ぶれですよ。
森繁さんなんかね。
 

**** 松竹末期から日活までは、名作というか、
まともな作品を作るようになったんですけど、
東京映画へ入ってからは、環境がヌルく
なったから作品的にイマイチのものが
多いということなんですが。
 
三橋

プロデューサーの違いじゃないですか。
こっちへ来たら、佐藤一郎さんですからね。
ソフィスティケイテッドなものを狙っていて。
そうじゃない、もっと川島さんが持ってる
本質的なものからすると、ソレちゃったみたいね。

その頃に川島さんは悪名を轟かせたんです。
あいつは、プロデューサーが飲ませないと
仕事をしないっていうんでね。
しかも、打ち合わせなんて言うと必ず飲んで、
しかも一軒じゃすまない。
二軒以上行かないと機嫌が悪くなっちゃうとか。
そういうことがありました。
その辺がね、ちょっと東京映画あたりで
お提灯が過ぎたんじゃないですか。

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