三橋達也氏インタビュー 20
「幕末」に出演しなかった訳(2)
**** 石原裕次郎がやった高杉の役は、
もともと三橋さんがやる予定だったんですか。
 
三橋

そうです。高杉晋作って言いましたもの。
僕がやったら、もうチョットふくらんだかもしれない。

あの時の裕次郎は、まだそんなに
売り出してない頃ですからね、出始めですから。
石原慎太郎さんの原作が欲しくて、
日活が交渉に行っているときに、弟を頼むよって
条件付きになっちゃって。
それでしょうがなくて引き取ってね。

ところが、なんか他の作品に出したら、
ま、素人だから、訓練されてないから、箸にも棒にも
かからなかったらしいんですね。
そういう悪いうわさが僕のところにとんできて。
山崎辰夫さんていう所長から呼ばれてで、
「おい、達ちゃん。お前な、ちょっとこれ、
慎太郎のあれでさ、ひも付きなんだよ。
悪いけど、ちょっと指導してやってくれよ。」
って言うんで。
『勝利者』 (1957・日活) という映画で、
僕は格闘のやり方まで教えたんですよ。裕次郎にね。
あれが裕次郎の出世作ですからね。

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