三橋達也氏インタビュー 12
川島監督の演出術(2)
**** 今村さんが、もっと役者を
絞るべきだと怒っているわりには、
のんびり(役者と)しゃべったりしてる。
だけど、勝手に役者が動いてしまうような監督
という感じですか。
 
三橋 乗せるのがうまかったじゃないんですかね。
こういう冗談いったりね、いろんな話をしたりして
乗せるのはうまかったような気がしますよ
 
**** 撮影中の休憩時間なんかに
俳優さん、女優さんと、川島監督が
直接コミュニケーションをとることはあったんですか?
 
三橋 あまりないけど、現場に入ってからはわりとね、
なんかそういう感じはありましたね。
ライティングしてる間に話をしたり。
 
**** 乗せるってことでいえば、
草笛光子さん、桂小金治さん、芦川いづみさん、
小林旭さん、春川ますみといった、川島さんの作品で
デビューした人達が新人で伸び伸びやれたのも
そういう乗せるのがうまかったってことですか?
 
三橋

と思いますね。そんなにね、
口数の多い人じゃなかったですから。

僕とは2人きりでよく飲みましたからね。
僕とはよく、勝手なこと言ったりして。
「おい、達ちゃん。お前、あれ読めるか?」
とか、人をからかったりして。漢詩か何かの
彫刻があるでしょ、僕がいい加減な読み方をすると
「馬鹿」なんて言って、自分でスラスラ読んで
みせたりする。それくらい勉強してましたからね。

そういうことは僕にはあったけどね、
ちょっと気に入ってる女優のところに行って
おいおい何とか、なんてことはなかったですからね。

だから、半分はやっぱり
(プロデューサーの)山本武さんとか、
今村昌平が応援して、そういう女優をね、乗せたり
なんかするのをやってるわけですよ。
もちろん、指示は川島さんがして
「だめだ、あいつ硬くてしょうがねえ。
もっと柔らかくなるように言え。」とかね。

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