「KAWASHIMA CLUB」臨時創刊号から7年。創刊号が、藤本、長部、飛烏田、西川、白井(今平氏は電話インタビューだったが、インタビューのドジで、録音に失敗)の各氏へのインタビューと、編集委員の「酔談」という構成をとったのは、独自の川島論・作品論はまだ無理との判断があったからで、インタビューの突っ込みも足りなかったし、酔談も文字どおり「酔談」になってしまった。第二次KAWASHIMA
CLUBとも言うべき現在のカワシマクラプの機関紙の発刊にさいして、私なりの川島論・作品論のためのノートをスケッチしてみたい。スケッチと言ったのは最近は、映画館で映画を観ることもほとんどなくなった、確実に、エントロビーが低下して来ているのだろう、そのためである。しかしながら、とりあえずやってよう、おもいつくままに・・・
1. 好きな映画には、自分勝手な思い入れ(夢)を許すものがあるが、川島映画はそれを拒絶しつつ、なおかつ、とても面白い。その秘密を探ること。
2. 「青ぺか物語」「貸間あり」に顕著な《個癖集団劇》の構造。《個癖》どはなにか?
3. オーソドックスとオフビート
1)時代からのズラシ方、偽善への挑戦・「遠って来た男」
2)「洲崎パラダイス」の位置、「わが町」と「無法松の一生」、「花影」
3)「幕末太陽伝」「女は二度生まれる」のラスト・シーンの異様さ、「雁の寺」の外し方
4)松竹時代と東京映画時代
4. 松竹・日活・東京映画と変わり続けた作風の秘密を、作品の展開に即して後づける。
1)松竹大船メロドラマの系譜の水準を竿頭一歩推し進め得た意味。
2)小津への思いと異質さ。
3)類寿との出会いの意味。
4)日本喜劇映画の系譜における異質さ
5)今平の≪重喜劇≫との出会い。「風船」「幕末太陽伝」「洲崎パラダイス」⇔「豚と軍艦」「女は二度生まれる」「しとやかな獣」⇔「日本昆虫記」「赤い殺意」
5. (近江商人の血⇒)下北半島一おいたち一病(観念)、川島伝説
6. 太宰(愛憎)⇒織田作
7. 森田「家族ゲーム」
8. 日本映画の衰退とテレビの勃輿
9. 「江分利満氏の優雅な生活」(近代狂言集)
10. 私の好きな作品「遠って来た男」「洲崎パラダイス・赤信号」「幕末太陽伝」「貸間あり」「接吻泥棒」「女は二度生まれる」「雁の寺」「青べが物語」「しとやかな獣」 |